始める前に BEFORE HOUSE-MAKING , BEFORE REMODEL

リフォームは一回では済まない?

 リフォームは一回では済まないことを認識してください。皆さんが勘違いしていることは、リフォームを一回で終わらせることが効率的だと考えることです。建物を建築後、または購入後の初めてのメンテナンス時期には、できるだけ一回のリフォームで終わらせてしまおうと考えてしまいますが、メンテナンスの時期やライフスタイルの変化は何度もやってきます。リフォームは修繕工事も含めると永遠に続くものであり、少ない人でも大小工事を合わせると一般的に生涯五回以上はあると考えられています。数回に渡るリフォーム工事を、メンテナンスの時期やライフスタイルの変化に合わせて効率よく行うことができれば理想的ですが、消費者にそれを要求することは厳しいと言えるでしょう。

 効率よくリフォームを行うのであれば、リフォームの周期を知っていなければなりません。家族構成により差はありますが、その目安は、「ライフスタイルの変化への対応」の場合は一〜三回。「老朽化した住宅の構造・設備のメンテナンス」の場合は五年から十年に一回。「部屋や設備に対する不満点の解消」の場合は一回。「シックハウスや安全設備などへの対応」の場合は一回、と考えると良いでしょう。

 まず、「ライフスタイルの変化」は、家族増減時または定年時になります。その中でも、子供の独立、そして仕事からの引退は家族のライフスタイルを大きく変化させます。家を建てる時(購入する時)、子供が生まれることを考慮することは当然ですが、その時、老後の間取りまで考えて、住宅を購入する必要はありません。金銭的にも余裕ができる六十歳代前後の時期にプラン変更を伴う大型のリフォームをすることを考えれば良いわけで、それが一般的です。

 「老朽化・メンテナンス」の対象は、老朽の早い屋根、外壁、水廻りの工事になります。屋根・外壁は年々材料の改良も進み、「メンテナンスフリー」と言われる材料が増えていますが、全くメンテナンスをしないで済むものではありません。一生、現在の住宅に住むのであれば、最低でも十年に一回のメンテナンスは必要になります。この場合金額は、50万〜300万円程度の中規模リフォームになることが一般的です。

 「不満点の解消」、「安全設備などへの対応」という二つの目的の工事は、それぞれ単独で行う場合も多いのですが、一度も実施しないこともあります。

 費用面について考えると、確かに複数の目的の工事を一緒に行った方が得なことは事実です。しかし、例えば、「子供は独立するのだから」とか「アパートとして将来貸せるように」と考え、プラン変更にかかわる工事(ライフスタイルの変化への対応)を、外壁工事などのメンテナンスの時期に一緒に行うことはリスクを伴います。「タラレバ工事」を行って、十数年ライフスタイルが変化せずに、使い勝手の悪い住居にそのまま住んでいる消費者の方が数多くいます。やっとアパートにする時期がきても、そのときには時代のニーズには全く合わない間取りとなってしまっており、再度大型リフォームをしている方もいます。将来のことを考えるのは大切なことですが、あまり先読みすると大失敗に繋がることにもなりかねません。

 ライフスタイルの変化によるリフォームの場合は、確定している内容で計画することが重要です。外壁などのメンテナンス時期には、メンテナンスのみを目的とした工事をすることが望ましいと言えます。その時点で、必要性が確定していない工事であれば、後々二回工事を行うことになったとしても、その結果、金銭的なリスクは少なくて済みます。

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