始める前に BEFORE HOUSE-MAKING , BEFORE REMODEL

リフォーム業者の特徴

 リフォーム業者の特徴につき五点ほど、説明させて頂きます。リフォーム業者にはどのような種類があり、どこを見れば業者の質を見抜くことができるのでしょうか?

(1)クレーム産業と言われる由縁

 リフォームに臨むにあたって、一番重要なのは業者の選択です。良い業者に出会えれば、リフォームの成功は8割がた約束されたも同然です。
 しかし、消費者がリフォーム業者を選択する時に、選んだ業者の良し悪しを判断することは困難です。それは住宅が工業製品ではないからです。例えば、ビデオデッキなどを買う場合は、実際に物を見ることもできますし、カタログ記載の機能より劣っていることはありません。選ぶメーカーも多くて十数社でしょう。ところが、リフォーム業者選びの対象は少なくても数千社です。この中からあなたに一番適した業者を誰の力も借りずに探し出すことは、ほぼ不可能と言えるでしょう。

 そうであっても、リフォームを進めるには、消費者はリフォーム業者を選択しなければなりません。完成後を想像できないリフォーム工事に対して、数百万円、数千万円を支払うリフォーム業者を自らの判断で選ばなければならないのです。こんなことは建築業界以外では考えられないことです。

 住宅はクレーム産業と言われていますが、特にリフォームに関しては法規制の対象外の場合が多いのです。例えば建設業法です。建設業を行うには、建設業法上の建設業登録をしなければなりませんが、登録をしなくて良い場合があります。500万円以下の工事であれば明日から誰でもリフォーム業者になることができます。品確法にしても平成十二年施工時には既存住宅は対象外でしたし(平成十四年に既存住宅も対象)、完成後十年の基本構造の瑕疵保証についても、リフォームは現在(平成十七年)も適用がありません。建築基準法も新築の適用は当たり前ですが、リフォームは増築を除くと、どこまでが建築確認申請が必要なのかが曖昧です。

 このように、法律はリフォーム業者やリフォーム工事には新築より規制が緩く、曖昧な部分があります。このことからも、リフォーム業者の選択を間違えると、消費者にとんでもないリスクが降りかかることになります。また、「家づくり・リフォームに関する消費者と業者の意識のギャップの存在」がクレーム産業と言われる原因でもあるのです。

(2)コンプライアンスの時代

 コンプライアンスという言葉をご存知ですか?最近よく使われる言葉です。「法令尊守」という言葉なら解り易いと思います。法を守るのは当たり前だと思いますが、日本の文化は、(乱暴に言うと)このコンプライアンスが非常に低い文化であったと思います。
 例えば、「10万円ぐらいあれば出来ますよ。」「そこは私に任せて下さい。」などと曖昧な言葉を言っても問題なかった文化であり、見方によっては、まさに「古き良き時代」であったのかもしれません。決して、その文化を否定するわけではありませんが、住宅の場合は、この曖昧さがのちに消費者を苦しめることになる例が後を絶ちません。リフォーム業者側も「騙すつもりで言ったわけではない。」「そんな法律知らなかった。」で何とか済んだこともあったかもしれませんが、これからの時代は、リフォーム業者として「知らなかった。」では済まされません。

 「業者選びは人選び」という言葉がありますが、リフォーム業者が法人である限り、担当者個人を見ただけでリフォーム業者を判断することは危険です。いくら一生懸命に対応してくれた営業担当者がいても、会社が社会的責任を果たしていないリフォーム業者は、やはり選択してはいけません。

 クレーム産業と言われる住宅業界では、さまざまな法規制が次々に施行されています。建築基準法は当然として、建設業法、個人情報保護法、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)、特定商取引法、消費者契約法などです。これはリフォーム業者が守るべき法律なのですが、残念なことに、これらの法律を守らないのではなく、知らない業者が依然として多いことです。さらに問題なのは、消費者はリフォーム業者以上に法律を知らないことです。

 皆さんは「あんな有名な会社が法律を守っていないわけがない。」「CMで言っている事に嘘はない。」と過信しています。一方、企業の社会的責任(コーポレートガバナンス)という言葉は、崇高な目標であって綺麗ごとであるとのイメージを抱く人もいると思います。

 しかし、社会的責任を果たそうとしない会社は、今後、生き残ることはできません。今がよくてもいずれそのような会社は消えていきます。これからは、コンプライアンスという観点からリフォーム業者を判断することも必要です。

(3)生い立ちで違う「リフォーム業者」

会社にも生い立ちがあります。この生い立ちによって企業の考え方や組織構成、管理体制に違いがあります。この違いが問題という意味ではありません。その違いがリフォーム業者それぞれの特徴を形成しており、消費者の依頼内容とその特徴が合致したリフォーム業者へ依頼することが望ましいのです。例えば、水廻りなど定価のある商品のリフォームが多い場合は、やはり住設機器のメーカーなどのFC(フランチャイズ)が強いですし、逆に、大型リフォームをそのような会社が得意であるかは疑問があります。
 リフォーム業者に会う場合は、必ず生い立ちを調べ、どのような特徴の業者で、何が得意なのかを確かめるだけでも業者選びには役に立つことになります。

 大きく分けると、「リフォーム専門業者」と「新築・リフォームを両方おこなう業者」に分けられます。前者は工務店からの独立者、ハウスメーカーの下請け会社がリフォーム展開した会社、カーテン、照明、水道、屋根、塗装などの専門業者が事業を拡大した会社、大手の住宅設備や建材メーカー、不動産業者が展開するリフォームFC(フランチャイズ)、などがあります。
 後者は工務店がアフターメンテナンスとして行っていたものや大手ハウスメーカーが事業の拡大を狙ってリフォーム事業を分社化しているものがあります。

 一概に言えませんが、大手設備メーカーや建材メーカーのFCなどは、もともと設備や建材を売ることが目的ですので、そのメーカーの製品は市場価格より格安で納入されています。水廻りなどの設備リフォームには最適な業者です。

 大型リフォームの場合は、構造などの変更を伴うため工務店や大手ハウスメーカー系や設計事務所系のリフォーム店が良いでしょう。

(4)リフォーム業者の管理体制

これはリフォームに限りませんが、リフォーム業者の「管理体制」も会社の規模や考え方によって違います。大手に多い管理体制が「完全分業制」で、営業、設計、施工の担当が別れています。専門知識が多くセクションごとに管理体制が確立しているため、精度に狂いはないはずなのですが、分業していることで、連絡ミスや引継ぎのミスによる問題が多いことも、この管理体制です。

 次に「一担当制」で、小さい企業はこの形態をとっています。営業、設計、施工の担当をすべて一人でおこなう形態です。連絡ミスなどはまず起こらないのですが、裏を返せば、担当者が間違えればチェックする方法はありません。要は担当者の腕に全てがかかっており、一歩間違えると大きな問題が起きることになります。

 最後に「二分業制」で一番多い形態です。工務店はこの形態を取ることが多く、社長や営業担当者が消費者と打合せをして、施工時には現場監督が対応する形です。これは完全分業制と一担当制の中間で、両方の良いところと悪いところを持ち合わせています。

(5)構造で違うリフォーム業者の選択

リフォームといっても対象となる建物はさまざまです。一戸建てなのか、マンションなのか、木造なのか、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)なのか、などです。木造住宅のリフォーム実績しかないリフォーム業者が、S造やRC造のマンションリフォームができるでしょうか? 答えはYESです。

 マンションは、主にS造かRC造であることが一般的ですが、マンションの構造自体は共有物であり個人の所有物ではないので構造の変更はあり得ません。極端に言えば、内側のハリボテ作業になるので、構造の検討は必要なく、どのリフォーム業者でも工事ができると考えて問題ないでしょう。

 S造やRC造の一戸建て住宅のリフォームで構造を変更しない場合は、マンションと同様ですが、構造を変更する場合は面倒な計算が必要になり、対応できる工務店は少ないはずです。日頃から、鉄骨住宅や鉄筋コンクリート住宅に携わっている工務店やハウスメーカーのリフォーム業者を選ぶことをお勧めします。逆に木造の場合も同様です。構造に変更がある場合とない場合とでは、対応できる業者の選択が変わるということを覚えておけばよいでしょう。

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